賽は投げられた:新世界キャンペーン

一月ほど前のセッションになってしまいますが、D&D新世界キャンペーンリプレイをお送りいたします。
今回のセッションは、前回死亡してしまったアリアを復活させることから始まる。
D&Dというゲームにおいて、6~7LVである今の一行が利用できる「復活の呪文」は次の2つである。まず一つはレイズ・デッドの呪文である。復活者のレベルが一つ下がる上に費用が5,000gpもかかる。結構な金額であるが、前回ちょうどスクロールを入手しているのでそれを使えばなんとかなる。あと一つ、リインカーネイトの呪文があり、こちらもレベルが下がるのは同じだが1,000gpしかかからない。なぜ5分の1の値段かというと重大な副作用があるのである。ダイスで決まったランダムな種族に転生してしまうのだ。この中には人間やエルフ、ドワーフといったPC向けの種族ばかりではなく、オークやゴブリン、バグベアといったいわゆるモンスター種族も含まれている(メジャーな人型生物に限られるが)。能力値や特殊能力も置き換えられてしまうので、例えばバグベアに転生した時には、筋力と耐久力が上がったうえ外皮も硬くなり、暗い所でも眼が見えるようにさえなる。前衛ならば攻撃力防御力両方アップひゃっほー、といった感じだ。まあ、人々から石を投げつけられたり、あまつさえ正義のパラディンに問答無用で斬りかかられたりするかもしれないが、それは些細なことだ(笑)。
そんなギャンブル性に魅せられて、うちのサークルではリインカーネイトによる復活が流行っている。ノームの魔法戦士であるハワードも実は以前は人間だったのである。リインカーネイトによる復活の結果ノームとして生まれ変わり、耐久力は上がったものの戦士にとって同等以上に重要な筋力が下がってしまっている。体のサイズも一段階小さくなってしまったので武器のダメージも移動速度も下がるという散々な目に遭っているのだが、まあ、移動力を補うためにノームと仲良しなダイア・バジャー(巨大アナグマ)に騎乗することにしたりして、ノームライフをエンジョイしているように見える。
さて、アリアに話を戻そう。リインカーネイトによる転生先の種族の決定にはd100(1~100までランダムに決める)を使うのだが、100の目を振った場合の種族はDM(ゲームマスター)の裁量に任される。100の目が出たらフェイ(妖精)にしてあげるよ、というDMの甘言に惑わされ、アリア(の中の人)は迷いに迷った末、リインカーネイトによる転生を決意する。
全員の注視する中で、運命を決める賽は投げられた。


ごろごろ・・・
・・・

99!

なんと、1足りない!
99に対応する種族といえば・・・、マスターが厳かに宣言する。

トログロダイトとはトカゲ人間の一種であり、人型生物を喰らったりする極めて邪悪な種族である。善と悪の対立をテーマの一つとするD&Dにおいて邪悪な種族など珍しくもないが、「デーモンの中の最も卑劣な輩と肩を並べるほど邪悪である」とまで形容されているような種族はそうそういるものではない。親が子供に「悪いことをしたらトログロダイトがやってきて食べられてしまいますよ」とか言って躾をするわけだ。更にひどいことには、トログロダイトには戦闘などで興奮するとものすごい悪臭を放つという習性がある。あまりの臭さに、頑健セーヴに失敗すると戦闘にペナルティを被るという代物だ。社会生活を営む上でこれほどハンデのある種族はいないとマスターのお墨付きまでつく始末である。
加えて言うならば、アリアは本来うら若い人間の女性であった。高い魅力を持つ吟遊詩人であり、対人交渉を得意としていた。善の体現者の証である「高貴なる」特技を持ち、《創造の言葉》を織り交ぜた、無上なるまでに甘美な歌声で一行を奮い立たせ、その戦意を鼓舞したものであった。それが今や、その邪悪さにおいて名高いトカゲ人間トログロダイトの姿に貶められ、鼻の曲がるようなすさまじい臭いを周囲に振りまく体たらくである。無惨というか悲惨というか、なんかもーすごすぎる変身ぶりにはもはや言う言葉もない。
このような究極的な状況に対して、アリアの中の人(プレイヤー)はあまりの逆境っぷりにかえってゲーマー魂が燃え上がったようだ。善なる魂を宿したトログロダイトをロールプレイするという滅多にない機会をチャレンジとみなし、積極的に楽しもうとしているように見える。そのポジティブな精神は同じゲーマーとして見習いたいものである。
こうして、ダイスの神様のいたずらにより大いに盛り上がる中、その日のセッションは始まった。

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